綿向山のごちそう膳

鈴鹿山脈の霊峰綿向山の麓に広がる日野町は、先人たちが紡いできた歴史あふれる町です。

綿向山のふもとの西明寺、北畑、熊野、平子、蔵王、音羽、仁本木地区にお住まいのみなさまに色々な行事などで昔から伝わる料理や、親から受け継いだ料理、お母さんやおばあさんの味など伝統料理の聞き取り調査をさせていただきました。

お聞きしたことを参考に、献立を考え「綿向山のごちそう膳」として、近江日野商人ふるさと館「旧山中正吉邸」の食体験レストランで2022年の11月12日、13日、19日、20日に提供しました。

綿向山のごちそう膳

1.生節そうめん

日野祭のごちそうに「鯛そうめん」がありますが、昔鯛は大変高級魚であり手に入りませんでした。

当時は鯛のかわりに生節を使った生節そうめんを食べていたという声が多く聞かれ、再現しました。

2.鶏のすき焼き

昔は鶏を飼っている家が多く、やぶいり(丁稚や女中が休日をもらい実家へ帰ること)や人が集まる時には、鶏肉を使って作るすき焼きが大変なごちそうであり、おもてなし料理でした。

3.さつまいものちょく

神社の祭礼や信仰行事が多く残っている地区であり、行事の際によく作られる料理で、さつまいもをたっぷりの黒胡麻と味噌で味付けしたさつまいもの黒和えです。音羽地区ではゆりねで黒和えを作っていたとの声もありました。

4.大根と生姜の甘酢漬け

大根を薄く切り、生姜の千切りを芯に入れ巻いて結び、甘酢に漬けた酢の物。懐かしい母の味です。

5.里芋ごはん

蔵王では、中秋の名月に里芋の根を取り芋を上にして竹にくくりつけ、月に見えるようにお供えする行事(芋名月)があり、その日に食べられるのが里芋ごはんです。

6.具だくさんの味噌汁

その時期に採れるお野菜をたっぷりと入れた具沢山の味噌汁です。

7.日野菜漬け

日野町が原産地である「日野菜」をさくら漬けにしました。

8.ちまき

熊野や平子では、野あがり(さなぼり)には、ちまきを作られます。

ヨシの葉で作られますが、今回は笹の葉をつかいました。本来は塩のみの味付けですが、今回は砂糖を加え食後のおやつとしてつくりました。

9.おっぽ豆

音羽の押磐(おしわ)神社の秋祭りに食べられていたおっぽ豆。

「お籠り」祭りの前夜から役員が夜通し過ごされます。0時になると眠気を覚ますために、大豆を片栗粉と砂糖、一味で味付けしたおっぽ豆をたべられました。

大豆がくっつき、おっぽ(おんぶ)しているように見えることから名前がつきました。